布引高原のヒマワリ畑、広範囲で被害拡大
郡山市湖南町の観光スポット、郡山布引風の高原のヒマワリ畑でシカによる深刻な食害が発生している。関係者によると、畑の面積は約9ヘクタールで、これまでに全体の約7割が食べ尽くされるなど被害が広がっている。被害の拡大により、毎年8月下旬に開催される予定の「郡山布引風の高原まつり」の開催が危ぶまれている。
畑は市が土地を借り、布引高原野菜生産組合が栽培管理を受託している。組合長の小山忠義氏は「10年以上ヒマワリを育ててきたが、これほどの被害は初めて」と述べ、被害の深刻さを語った。
- 畑面積:約9ヘクタール
- 被害状況:全体の約7割が被害
- 発生時期:第1回目の種まき分が今月上旬に15〜20センチまで成長した段階で食害
被害の状況と現場で確認された事実
市と組合の聞き取りでは、今月上旬に1回目に種をまいたヒマワリは15〜20センチ程度まで成長していたが、ほぼ全てがシカに食べられた。畑には多数のシカの足跡が残り、近隣で栽培している大根など他の農作物にも被害が出ている。
「一度に5頭ほどの群れが侵入していた」— 防犯カメラの映像を確認した小山組合長
被害を受けたヒマワリは、種まきから約40日ほど経過し、つぼみを付ける前で葉と茎が柔らかい状態だった。組合や市は、早朝や夕方以降の人の少ない時間帯にシカが現れて食害を行っているとみている。
要因と対応の難しさ
近年は大きな食害がほとんどなかったが、昨年も約2割が被害を受けていたといい、今年は被害が急増している。組合と市の担当者は被害増加の原因を明確に特定できていないが、小山組合長は「昨年、ヒマワリの味を覚えてしまったのだろうか」と語った。
防護対策には課題がある。シカ対策として電気柵の設置が考えられるが、電気柵の運用には発電機が必要であるほか、シカは約1.5メートルほどの柵を跳び越えることもあり、十分な抑止力を確保することは容易ではないという。
| 項目 | 現状 |
|---|---|
| 畑の所有・管理 | 市が土地を借り、組合が栽培管理 |
| まつり開催時期 | 毎年8月下旬(開催可否は8月上旬に判断) |
| 今後の見通し | 第2回目の種まき分にも被害が出始めており、数週間で食べ尽くされる可能性 |
観光・地域経済への影響と住民への示唆
布引高原は標高約1000メートルの高原で、磐梯山や猪苗代湖を一望できる景勝地として知られる。ヒマワリと風力発電用の風車が並ぶ風景は観光資源となっており、例年は多くの来訪者がある。ヒマワリ畑の大規模な被害は、観光客の減少やまつりの中止につながれば、地域の観光関連事業者や宿泊、飲食に影響が波及する恐れがある。
また、現場ではクマの出没も増えているとされ、実行委員会側は「花が咲いていない上、クマの出没も多くなった。(今年の開催は)厳しいのではないか」と懸念を示している。地域住民にとっては、観光面だけでなく、安全面での注意喚起も必要な状況だ。
住民へ向けた当面の注意点としては、早朝や夕方以降は人が少なく動物が出やすいため高原に出かける際は時間帯に配慮すること、畑周辺で大量の足跡や糞を見かけた場合は近づかないことが挙げられる。観光で訪れる場合は、現地の状況に関する市や実行委員会の発表を確認することが望ましい。
今後の見通しと求められる対応
まつり開催の可否は8月上旬に決定される見通しだ。関係者は被害抑止のための対策を検討しているが、短期間で効果的な措置を講じるのは難しいとみられる。風力発電所の建て替え工事が計画されており、将来的にヒマワリ栽培が一時休止になる可能性もあることから、今回が「最後のヒマワリ」になるとの懸念も示されている。
地域としては、被害の実態把握と長期的な野生動物対策の検討が求められる。市と生産組合、関係団体が連携し、観光資源の保全と住民・来訪者の安全確保を両立させるための具体策を早急に詰める必要がある。
被害の全容や対策の進捗は、今後の市の発表や実行委員会の判断で明らかになる。布引高原のヒマワリの状況は郡山市内外で関心が高く、地域にとって重要な課題となっている。