海外軸の転換が奏功、業績の安定化につながる
韓国を代表する化粧品大手の業績に明確な回復の兆しが出ている。LG生活健康は2026年4〜6月期の連結決算で、売上高が1兆6574億ウォン、営業利益が1028億ウォンとなり、前年同期比で売上高は3.3%、営業利益は87.5%の増加を示した。市場予想を上回る利益を計上し、特に海外売上高の伸びが顕著だった。
企業が中国市場への依存度を引き下げ、北米や欧州を中心に販路を拡大したことが主要因とされる。LG生活健康の海外売上高は5845億ウォンで前年比12.6%増加し、地域別では北米が前年比47.3%増の2058億ウォン、中国は5%減の1760億ウォンとなった。この結果、分社化後として初めて北米の売上が中国を上回る構図が示された。
「米州や欧州・中東・アフリカ地域の高成長が続き、ラネージュ以外のブランドも本格的に伸びている」との分析が出ている。
化粧品事業自体も黒字に転じ、売上高は8184億ウォン、営業利益は444億ウォンを計上した。個別ブランドではドクターグルート、ユシモル、ヒンス、VDLなどが成長をけん引している。ドクターグルートは米国での取扱いを拡大しており、コストコに続いてセフォラでの販売も始まるなど、実店舗チャネルの拡充が奏功している。
同業のアモーレパシフィックも海外軸の拡大で回復が見込まれている。金融情報会社の予想では、同社の4〜6月期売上高は前年同期比7.9%増の1兆846億ウォン、営業利益は31.6%増の970億ウォンと見られている。6月の大型商戦における北米・欧州での販売伸長も確認されており、ブランドレンジの広がりが市場でのポジション強化に寄与している。
背景と示唆:輸出先の地理的分散がもたらす影響
韓国化粧品業界全体の輸出構造にも変化が見られる。2026年上半期の輸出額は過去最高を更新し、米国が最大の輸出先になった一方で中国の比重は縮小を続けている。こうした地理的分散は、特定市場の変動に伴う業績変動を和らげる効果が期待できる。
業界関係者は、以下の点が今回の回復に寄与したと分析している:
- ブランドポートフォリオの見直しと成長余地の大きいチャネル(EC、ヘルス&ビューティーストア、バラエティ小売)の重点化
- 北米・欧州での販路拡大と現地流通チャネルへの進出(実店舗と大型ECイベントでの販売強化)
- 中国市場の再編に伴う短期的な落ち込みを他地域の高成長で補う戦略
一方で注意すべき点もある。中国市場の縮小は短期的に売上にマイナス影響を与えるため、各社は既存顧客の維持と新市場での顧客獲得を同時に進める必要がある。また、為替変動や現地規制、流通業者との契約条件といった外部リスクも引き続き存在する。
国内の健康・美容市場への影響
韓国ブランドの国際展開が成功すれば、原材料や製造、マーケティング分野での需要増が見込まれ、日本を含むアジア圏のサプライチェーンにも波及する可能性がある。国内の小売や美容関連事業者は、海外でのトレンドやチャネル戦略を注視することが重要だ。
今回の決算と市場動向は、化粧品が単なる「消費財」から、地域ごとの流通戦略とブランドポジショニングによって収益性が大きく変わる産業であることを改めて示している。企業は短期的な地域別の調整を行いながら、長期的には多地域での安定成長を目指す動きが鮮明になっている。
| 項目 | LG生活健康(4〜6月期) |
|---|---|
| 連結売上高 | 1兆6574億ウォン |
| 営業利益 | 1028億ウォン |
| 海外売上高 | 5845億ウォン(前年比12.6%増) |
| 北米売上 | 2058億ウォン(前年比47.3%増) |
| 中国売上 | 1760億ウォン(5%減) |
今後の焦点は、実店舗とデジタルの両面で得られた北米・欧州の成長をいかに維持・拡大するかだ。競争が激しい海外市場でのブランド価値の定着、現地消費者の嗜好への対応、持続的なサプライチェーンの確保が引き続き課題となる。
化粧品業界はここ数年で販売チャネルの多様化と地域戦略の転換が加速している。今回の決算は、その効果が数値として表れ始めたケースといえる。企業の戦略転換が持続的な業績改善につながるか、今後の四半期決算と各社の地域別施策を注視したい。