楽しさを通じて“健康接点”を創出
キリンビバレッジは、飲料自販機にガチャガチャのような体験を組み合わせた新型自販機を展開し、子ども向け健康飲料を無償で提供する実証を始めた。目的は、商品群の成長と自販機1台あたりの収益性の向上に加え、親子で健康について話す機会を生み出す点にある。
仕組みと導入場所
新型自販機では、対象の飲料を1本購入すると、前面に設けられた大きな専用ハンドルを回すことができる。ハンドルを回すことで、ガチャ的な演出により子ども向け健康飲料が1本提供される仕組みだ。提供する子ども向け飲料は、今回の試行で「つよいぞ! ムテキッズ」として案内されている。
- 対象商品(一例):280mlPETサイズの既存飲料を設定
- 販売価格の目安:対象商品は200円の売価設定で検証中
- 導入目的:体験要素による来訪者の高揚感と、親子での健康会話の促進
「自販機を単なる販売チャネルではなく、お客様が楽しさを感じていただけるような接点にしたい」と芳野博郎執行役員は述べた。
検証の対象と今後の展開
今回の取り組みは検証段階で、実証導入先は計3か所に限定されている。各施設で利用者の反応や利用状況を比較し、今後の展開を検討するとしている。導入先はスポーツ施設やアミューズメント施設といった親子や子どもが集まる場所が中心だ。
| 導入施設(事例) | 特徴 |
|---|---|
| BUDDYスポーツアリーナ(東京都江東区) | 幼児教育・スポーツを中心とした施設 |
| 千葉県市川市のアミューズメントパーク | 家族利用が見込まれるレジャー施設 |
| 東京都北区のバッティングセンター | 子ども・若年層の利用が多い遊戯施設 |
健康情報発信と消費行動の接続
企業側は、ガチャ機能による「ワクワク感」を通して親子の接点を生み、子ども向け飲料をきっかけに健康に関する関心を高めることを目指している。パッケージはキャラクターを起用し、複数種類を用意することで“何が出るか分からない”楽しさを演出する設計だ。
一方で、健康セクションとして注視すべき点もある。子どもの飲料選択に関する環境整備や、無償提供される飲料の栄養表示、糖分や添加物の有無など、保護者が知りたい情報の開示が求められる。企業側はこうした観点を踏まえた運用ルールや情報提供の工夫も検討していく必要がある。
- 親子の会話喚起としての可能性—遊びを起点に健康を考える導線を作れる
- 企業の販売戦略と健康情報の両立—商品選定や表示が重要
導入を進める企業は、利用状況に応じてさらなる展開や価格設定の見直しを行うと説明している。今回の試行では、既存飲料と子ども向け飲料を組み合わせる価格設計で採算性を検証する段階にあり、今後の結果次第では設置場所や機能の拡大が見込まれる。
事業者と施設側が共同で導入を進めることで、子どもが集まる現場での健康行動への働きかけという新たなチャネルが生まれる可能性がある。だが同時に、保護者の納得と透明性を担保する情報提供が伴わなければ、企業の狙い通りの効果は得られないだろう。
現段階は限定的な検証導入だが、遊びと健康を結びつける発想は消費行動や家庭内の健康コミュニケーションに影響を与える余地がある。今後の利用実績と利用者の声に基づく評価が注目される。