カゴメと自治体が連携、地域特産品で「ナトカリ」普及へ
カゴメ株式会社は、ナトリウム(塩分)とカリウムのバランスを示す「ナトカリバランス」をテーマに、自治体と協働して健康サービスを開始した。第一弾として愛知県蒲郡市およびJA蒲郡市と連携し、地域の特産品を活用した「ナトカリバランスマップ蒲郡市版(リーフレット)」を制作、2026年8月から配布を始める。
この取り組みは、自治体が抱える健康的な食生活の推進、地域特産品の魅力発信、そして住民の意識向上と実際の行動変容を促すことを狙いとしている。蒲郡市での先行実施では、特産の蒲郡みかん(うんしゅうみかん)や地元産野菜を積極的に取り入れることを推奨している。
「『ナトカリ』の『ナト』はナトリウム、『カリ』はカリウムで、ナトリウム(塩分)とカリウムのバランスのこと。」
背景──国内の塩分摂取状況と「ナトカリ」への注目
カゴメの発表は、日本人の食塩摂取量が目標を上回っている現状を出発点にしている。厚生労働省のデータを基にした同社の説明では、日本人の男女平均の食塩摂取量は9.6gで、目標(成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満)に届いておらず、直近10年で変化が見られないという。
この状況を踏まえ、単純に塩分を減らす「減塩」だけでなく、カリウムを野菜や果物から積極的に摂ることで塩分の影響を緩和しようという考え方が「ナトカリ」だ。カゴメはこの考え方を地域レベルで広めるため、自治体と協働して実用的な情報を提供する取り組みを開始した。
蒲郡市版マップの特徴と配布方法
発表された蒲郡市版のリーフレットは、地域の特産品を具体的に取り上げる構成になっている。主な特徴は以下の通りだ。
- 蒲郡みかん(うんしゅうみかん)や蒲郡産野菜など、カリウムを含む地場産品の摂取を推奨。
- 蒲郡市保健センターの管理栄養士のコメントや、JA蒲郡市のマスコット「ごろみぃ」を掲載し、地域に親しまれるデザインとした点。
- 配布は蒲郡市民病院 健診センターや保健センターのイベント、JAの拠点、地元スーパーなどで順次行う予定。
以下の表は、同社が公表した主な配布設置場所と開始時期の概要である。
| 配布設置場所 | 備考 |
|---|---|
| 蒲郡市民病院 健診センター | 人間ドック受診者向け |
| 蒲郡市保健センター | イベント・健診チェックの参加者向け |
| JA蒲郡市 各拠点(本館・支店等) | JA利用者への配布 |
| 蒲郡市内スーパーマーケット等 | 順次設置予定 |
| 配布開始 | 2026年8月 |
期待される効果と留意点
自治体と連携したこうした取り組みは、次のような効果が期待される。
- 地域の食材を用いた具体的な提案により、住民が実践しやすい食行動の変化を促すこと。
- 地場産品の消費喚起により、地域経済の活性化につながる可能性。
- 保健指導と連動することで、健診や保健活動の効果を高めること。
一方で、同社も注意を呼びかけている通り、腎臓病などでカリウム摂取に制限がある人は、食事の変更について必ず主治医に相談する必要がある。また、自治体ごとの取り組みは地域の実情に応じた調整が不可欠であり、単独のリーフレット配布だけで大規模な食習慣の変化が起きるとは限らない。
今後の展開と課題
カゴメは、蒲郡市での取り組みを皮切りに、ナトカリバランスマップを全国へ展開する意向を示している。実効性を高めるには、次の点が課題となる。
- 効果測定の仕組み:配布後に実際の食塩摂取量やカリウム摂取状況、健診データの変化を追跡する方法の整備。
- 地域特性の反映:自治体ごとに特産品や食習慣が異なるため、ローカライズされた内容設計が必要。
- 医療機関との連携強化:慢性疾患のある住民への適切な配慮と情報提供。
食生活の改善は長期的な取り組みが求められる。企業と自治体が協力して地域資源を生かす試みは増えているが、住民の生活に定着させるためには、継続的な教育と評価、そして医療・栄養専門家との緊密な連携が鍵となる。
カゴメは公式サイトで「ナトカリバランスマップを考えよう!」といった関連情報を公開しており、今回の蒲郡市版を含めた取り組みの進捗や広がりが注目される。
(長谷川 由希)