名古屋鉄道、広見線 新可児〜御嵩間の廃止を決定
名古屋鉄道は2026年6月25日開催の取締役会で、広見線の新可児駅〜御嵩駅間(区間距離7.4km)を2029年4月1日に廃止することを決議した。これを受け、沿線の岐阜県御嵩町・可児市・八百津町と2028年度末までの運営に関する協定書を締結し、2026年8月4日に国土交通大臣宛ての廃止届出書を提出する手続きを進めるとしている。
経緯と判断の背景
当該区間は1920年に開業し、長年にわたり沿線住民の交通手段として機能してきた。名古屋鉄道の説明によれば、道路整備に伴う自動車利用の増加、少子化・人口減少による輸送人員の長期的な減少が続いている。2007年以降は沿線自治体と協定を結び利用促進策を進めてきたが、利用者数の減少が止まらず、コロナ禍後の新常態で輸送需要がコロナ禍前の水準に戻る見込みは立たないと判断した。
加えて設備の老朽化が進み、抜本的な更新投資が必要である点も廃止決定の理由として挙げられている。名古屋鉄道は2023年に沿線自治体へ現行方式での運行継続が困難である旨を伝え、以後「みなし上下分離方式」による存続をめぐる協議が行われたが、沿線側が協議の終了を公表したことを受け、廃止を決断したとしている。
廃止の概要と数値
公表資料に基づく当該区間の概要は次の通りである。
| 区間 | 新可児駅〜御嵩駅 |
|---|---|
| 距離 | 7.4km |
| 廃止予定日 | 2029年4月1日 |
| 開業 | 1920年(広見〜御嵩) |
| 駅数 | 5駅(新可児、明智、顔戸、御嵩口、御嵩) |
| 輸送実績(2025年度) | 784,785人/年 |
| 輸送密度(2025年度) | 1,687人/日 |
- 駅別一日平均乗降人員(2025年度):明智駅741人/日、顔戸駅176人/日、御嵩口駅247人/日、御嵩駅1,099人/日。
沿線住民・利用者への影響
今回の廃止決定は、通勤・通学、買い物、通院など日常的な移動に直結するため、沿線住民の生活に具体的な影響を及ぼす。とくに鉄道を主要な移動手段としている高齢者や学生、車を持たない世帯にとって代替手段の確保は重要な課題となる。
名古屋鉄道は協定により2028年度末までの運行を担保するとしており、当面の間は現行ダイヤでの利用が可能だが、廃止決定以降は地域交通計画やバス路線の拡充、乗り合いタクシーなどの検討が必要になる。市町や関係機関は廃止届出手続きに伴う住民説明や代替交通の調整、財政負担の検討を進めることが想定される。
今後の手続きと住民への実務的情報
名古屋鉄道は8月4日に国土交通大臣へ廃止届出書を提出する手続きを進めるとしている。届け出後も一定の行政手続きや審査があるため、最終的な運行終了日までには時間的余裕があるが、住民は次の点を押さえておく必要がある。
- 運行は当面、2028年度末まで継続されるため、直近の移動は現行の鉄道利用が可能。
- 廃止予定日は2029年4月1日。年度替わりでの変更となるため、通学や新年度の勤務先への通勤に影響を与える可能性がある。
- 代替交通の情報や自治体の補助策、地域バスの路線再編などに関する住民説明会や広報を注視することが必要。
名古屋鉄道は沿線市町と2028年度末までの運営に関する協定書を締結し、8月4日に廃止届出書を提出する手続きを進めます。
沿線自治体は既に「みなし上下分離方式」による存続をめぐる協議を行ってきたが、その協議を終了する旨を表明したことが今回の決定に影響した。廃止に至るまでの経緯は、沿線自治体と事業者の間で長期にわたる協議と試行錯誤が繰り返された結果であり、単純に事業者側の都合だけでなく、地域の人口動態や交通需要の変化が根底にある。
地域に求められる対応
今回の発表は、公共交通の維持に関する地方自治体の役割と財政的負担、地域住民の暮らしを守るための具体策を改めて問うものだ。自治体や住民、事業者が連携して代替手段を早期に整備することが求められる。具体的には、路線バスの輸送力増強、通学用スクールバスの確保、高齢者向け移動支援サービスの導入や共同利用型タクシーの実証などが考えられるが、これらは今後各自治体が検討する事項である。
名古屋市を含む広域交通網との連携や、通勤・観光動線の再構築も視野に入れる必要がある。沿線住民は自治体の広報や説明会に参加し、自らの生活動線に即した要望を伝えることが、実効的な代替策を得るために重要だ。
今後も地域の公共交通に関する詳細な動きや、自治体が示す代替交通の計画、住民説明会の開催情報などを継続して取材し、名古屋近郊に暮らす読者に向けて最新の情報を届ける。