備後地域地場産業振興センターで最終回の体験イベント
8月9日、福山市東深津町の備後地域地場産業振興センターで「ものづくり実演・体験フェア」が開かれ、親子連れを中心に多くの市民が来場した。会場には地元企業や団体のブースが並び、伝統工芸や木工、デジタル技術を直接手に触れて学べる体験が提供された。
同フェアはセンターが企業の研究開発や販路開拓、人材育成支援を目的に企画しているもので、今回で6回目の開催となる。主催者側は今回が備後地域地場産業振興センターの事業終了(12月末)に伴う最後の開催だとしており、会場にはいつも以上に熱気が漂った。
体験の多様性が好評 伝統楽器からドローンまで
会場には20の企業・団体が出展。国の伝統的工芸品に指定されている「福山琴」の体験コーナーでは、講師の指導を受けながら琴爪をはめて童謡を演奏する子どもたちの姿が見られ、音の響きを楽しむ様子が印象的だった。木工ブースでは電動のこぎりを使った制作や、やすり掛けで仕上げるデニムトートのダメージ加工が人気を集めた。
デジタル関連の体験も盛況で、車型ロボットに速度や障害物回避の指示を与えるプログラミング体験や、小型ドローンの操縦体験には順番待ちが出るほどだった。これらの体験は、従来の地場産業の継承に加え、地域の次世代人材育成やITスキル普及という観点でも意義がある。
- 開催日:8月9日
- 会場:備後地域地場産業振興センター(福山市東深津町)
- 出展数:20の企業・団体
- 特徴:琴演奏、木工、デニム加工、プログラミング、ドローン操縦など
参加者の声と子どもの学び
木工でラッコの置き物を作った福山市立光小3年の田上湊大さんは「電動のこぎりを使うのは緊張したけれど、かわいらしくできた」と話した。親子での参加者からは、伝統工芸に直接触れる機会が少ない中で、実際に手を動かして作る体験が子どもの興味を広げるという評価が聞かれた。
「電動のこぎりを使うのは緊張したけれど、かわいらしくできた」— 福山市立光小3年 田上湊大さん
主催者は、こうした体験型イベントが地域内の産業理解を深め、将来的な人材確保や地元産業の持続につながることを期待している。特にデジタル技術の体験は、IT人材育成の観点からも意義があり、学校教育と連携した取り組みの可能性も示唆された。
センターの終了が意味するもの
備後地域地場産業振興センターは12月末で事業を終了し、解散する予定である。そのため今回のフェアは「最後の開催」と位置付けられ、関係者や来場者にとって節目となった。センターはこれまで、地元企業の支援や販路開拓、人材育成のための拠点として機能してきたため、終了後の支援体制や代替策に関する関心が高まっている。
| 項目 | 現状 |
|---|---|
| センターの役割 | 研究開発、販路開拓、人材育成支援 |
| 事業終了時期 | 12月末(予定) |
| 今回のイベント回数 | 第6回 |
地元企業や関係者からは、センター終了後も地場産業の支援や若手育成が継続されるよう、公的支援や地域内ネットワークの活用を求める声が出ている。行政側や商工団体との連携策、民間による受け皿づくりなど、具体的な引き継ぎ方針が今後の焦点となる。
今回のフェアは、伝統と先端技術が同じ場で触れられる機会となり、参加者にとっては地元産業への理解を深める場となった。センターの事業終了を控え、地域としてどのように地場産業を支え、次世代へつなげていくかが当面の課題である。
(石井 裕子)