社会 長野県

ココヘリ導入で山岳捜索体制を強化、県と民間が協定

長野県は民間の捜索サービス「ココヘリ」を運営するAUTHENTIC JAPANと協定を結び、受信機・発信機の無償貸与や会員情報の迅速提供で山岳遭難の発見・救助の迅速化と隊員の安全確保を図る。

ココヘリ導入で山岳捜索体制を強化、県と民間が協定
©イラスト AI生成 :斎藤 綾/プレスリリースジェーピー

民間の位置情報技術を救助現場に導入

長野県は2026年7月7日、山や海で行方不明者の位置を特定する会員制捜索サービス「ココヘリ」を運営するAUTHENTIC JAPAN株式会社と「山岳等における遭難者の捜索・救助活動の協力に関する協定」を締結した。協定では、同社が県消防防災航空センターに受信機・発信機を無償貸与するほか、遭難発生時には会員情報を速やかに県へ提供し、県の消防防災航空隊と連携して捜索・救助活動を支援することが盛り込まれている。

長野県は北アルプス、中央アルプス、南アルプスを擁する山岳県で、登山者が多く訪れる一方、山岳遭難の発生が増加している。県当局は、今回の協定により従来の目視中心の捜索に加え、電波による位置特定を導入することで捜索の迅速化と効率化、さらに救助に従事する隊員の安全向上を図る狙いだ。

項目 2025年実績
発生件数 358件
遭難者数 392人
北アルプスの割合(目安) 6割

協定の主な内容は次の通りだ。

  • 遭難発生時にココヘリ会員情報を迅速提供する仕組みの整備
  • 県消防防災航空センターへの受信機・発信機の無償貸与
  • 遭難救助活動や訓練での資機材活用、平時からの連携訓練の実施

AUTHENTIC JAPAN側は、会員が携行する発信機の電波をヘリやドローンで受信することで、従来の目視だけでは見つけにくい状況下でも遭難者の位置を特定しやすくなると説明する。受信機をヘリに搭載すれば、発信機からの電波は最長でおおむね約16キロ先まで届くとされ、広範囲にわたる山域での捜索効率が向上する見込みだ。

「遭難者の位置情報を的確に把握できる手段が新たに加わることは、捜索・救助活動にとって大きな力になる」

(長野県危機管理部長のコメントより)

地域と登山者に及ぼす具体的な影響

住民や登山者にとっての当面の変化は、遭難発生時の捜索開始時点で得られる手がかりが増えることだ。発信機を所持する会員が遭難した場合、位置情報や連絡先などが運営会社から県に提供され、受信機を活用した空中捜索により捜索範囲を効率的に絞り込める。これにより救助までの時間短縮が期待され、救命率の向上につながる可能性がある。

同時に、救助に当たる隊員の安全面でも効果が見込まれる。発信機を隊員自身が携行する運用は、隊員が遭難や二次災害に見舞われた際にも迅速に位置を把握できる手段となり、救助活動の安全確保に寄与する。

実務面での留意点と今後の課題

今回の協定は官民連携の一例だが、実効性を高めるためには運用上の詳細なルール作りが必要だ。具体的には以下の点が今後の焦点となる。

  • 会員情報の提供範囲と個人情報保護の両立(どの項目を誰にどう開示するか)
  • 受信機・発信機の整備・維持管理と訓練の頻度
  • 複雑な地形や電波環境での精度確認と運用マニュアルの整備

また、ココヘリが提供するサービスは会員制であるため、会員でない遭難者に対してどのように対応するかも重要な課題だ。県は平時からの普及啓発や、必要に応じた機器配備の検討などを通じて、サービスの恩恵を広く行き渡らせる必要がある。

住民が知っておくべき実用情報

登山者やアウトドア利用者は、次の点を確認しておくとよい。

  • ココヘリは会員向けの発信機を貸与する民間サービスであること(会員登録が必要)
  • 遭難時には運営会社が会員情報を県へ提供し、受信機で位置特定を支援する運用になること
  • 救助の初動には天候、地形、電波環境など多様な要因が影響するため、装備や計画は従来どおり慎重に行う必要があること

登山計画を立てる際は、地形図や気象情報の確認、同行者との連絡方法の確保に加え、ココヘリのような位置特定サービスの導入を検討することが望ましい。県や救助機関は今後、具体的な運用手順や公開情報を順次提示すると見られるため、最新の周知情報を確認してほしい。

今回の協定は、民間技術を活用した捜索手段を公的な救助体制に組み込む取り組みとして注目される。救助活動の現場でどの程度効果を発揮するかは、想定外の事態に対応する訓練や運用面での積み重ねに依存する。県は関係機関と連携し、訓練の実施や運用ルールの整備を進めるとしている。

長野県の山岳環境は登山者にとって魅力であると同時に、厳しい自然条件を伴う。今回の協定が遭難発生時の初動を速め、救助の成功率向上と救助隊員の安全確保につながることが期待されるが、登山者側の備えと地域での継続的な訓練・情報共有が不可欠だ。

(執筆:斎藤 綾/プレスリリースジェーピー・長野県担当記者)

斎藤 綾
斎藤 AI編集 長野県担当記者 オンライン

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