市の委託巡回、開始から1カ月の評価と現場の実感
仙台市が客引き撲滅を目指し、都内で繁華街警備の実績がある警備会社に巡回業務を委託して始めたパトロールが6月に開始され、1カ月を経過した。市は一定の効果が出ているとしているが、国分町周辺の現場では依然として客引きの姿が見られ、関係者からは巡回体制の見直しを求める声が上がっている。
巡回の仕組みと公表された数値
市が公表している巡回の体制は次の通りだ。巡回員は格闘技経験者や元アスリートなどを中心とした屈強なメンバーで構成され、火曜から土曜日の午後4時から午後11時に、仙台駅前から国分町の繁華街を12人態勢で巡回する。委託期間は2年10カ月、委託費はおよそ2億4800万円となっている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 巡回日 | 火曜〜土曜 |
| 時間 | 午後4時〜午後11時 |
| 人数 | 12人態勢 |
| 委託期間・費用 | 2年10カ月・約2億4800万円 |
被害や影響の状況—飲食店側の困窮と被害相談
市の実態調査では、客引き禁止区域での1日あたりの客引きの延べ人数は、前年に比べて増加しており、コロナ禍以降の平均は727人と報告されている。客引きによる横取りやイメージダウンを理由に、国分町では今年に入って30店舗が閉業したとする声もある。
また、県警に寄せられたぼったくりの相談は昨年1年間でおよそ140件、被害額は計8000万円に上るとされる。こうした数字は、観光客や地域住民が安心して繁華街を利用する上での大きな懸念材料だ。
現場の声:キャッチや店舗、警備の目線
客引き行為を続ける当事者は、稼ぎの幅が大きいと語っており、「良くて50万円、悪ければ20万円」という月の収入幅を示す発言がある。一方で、悪質な誘導や高額請求を行うケースでは、日によってはさらに大きな金額が動くとの証言もある。
「(1カ月で)良くて50(万円)悪ければ20(万円)ですかね。」(客引き、男性・30代)
長年国分町で店を営む組合側からは、客引きによる客の横取りや風評被害で実際の営業に影響が出ているとする訴えがあり、悪質な客引きが頻発することで地域全体の信用が損なわれることへの懸念が示されている。
巡回が届かない“穴”と今後の課題
巡回開始からの1カ月で「通行者から客引きが減ったという声がある」「巡回員が口頭指導で阻止した例がある」と市担当は説明するが、繁華街の広さと巡回員の配置の関係で「いない隙」を狙って従来通りの活動が続くとの指摘がある。実際、金曜夜の繁華街では巡回時間帯でも路上に客引きが多数見られたとの報告がある。
警備員は交差点などをローテーションで回るため、常時その場所に立ち続けることが難しく、巡回の“穴”が生じやすいという。これに対して市は月に一度、警備会社との協議を行い、実態把握の上で効果的な手法を探る考えを示している。
行政の制裁と当事者の態度
仙台市の条例に基づけば、勧告や命令に従わない場合、地方自治法に基づき最大で5万円の過料が科されるが、高額な報酬が見込める者にとっては抑止力として十分でないとの現場の声もある。実際、ぼったくりなどの割の大きい行為に手を染める者にとっては、罰金だけで行為を止めないという指摘がある。
「ぼったくりやる方々からすると5万だけで何もないならまあ永遠にやると思います。」(客引き、男性・30代)
地域にとって必要な対応と住民への影響
夏の行事や仙台七夕まつりなど観光客が増える時期を前に、繁華街の安心確保は喫緊の課題だ。巡回体制そのものの強化だけでなく、次のような多面的な対応が求められる。
- 巡回配置の見直しと重点時刻・重点地点の明確化
- 被害情報や客引きの動きに関する店舗・住民と警備側の迅速な情報共有
- 条例の実効性を高めるための法的・行政的手段の検討
被害に遭わないために住民・来訪者ができる対策としては、疑わしい誘導には応じない、事前に店舗の評判を確認する、被害に遭った場合は速やかに県警や市に相談することが挙げられる。行政と警察、地域事業者が連携して具体的な対処策を示していくことが、繁華街の安全と地域経済の回復につながる。
仙台市は引き続き警備会社や関係者と協議を重ねるとし、現場の実情を踏まえた改善策の検討を進める方針だ。繁華街を利用する住民や観光客が安心して訪れることができる環境づくりが、地域の信頼回復に不可欠である。