春の王者に土、奈良大付が接戦を制す
第108回全国高等学校野球選手権奈良大会の3回戦は20日、さとやくスタジアムで行われ、奈良大付が智弁学園を9―6で下した。今春の甲子園で準優勝した智弁学園が、地元大会で姿を消す波乱の一戦となった。
試合は両校の顔とも言えるエースが先発した。智弁学園は杉本真滉投手(3年)、奈良大付は新城楓雅投手(3年)が登板し、序盤から投手戦の様相を見せるかに思えたが、展開は想定外の方向へ傾いた。
「点を取ってくれたにも関わらず、エースとしての仕事ができなかった。自分が全て悪いと思います」――杉本真滉投手
1回表、智弁学園が相手の失策を突いて一挙4点を先行させるなど立ち上がりは有利に見えた。一方の新城は立ち上がりに四死球が重なり苦しいピッチングとなったが、試合中盤にかけて持ち直す場面もあった。
しかし2回裏、奈良大付が二塁打と四球で満塁とした後、9番・西田玲唯捕手(3年)の内野適時打、続く辻本泰盛内野手(3年)の左翼線への適時二塁打に失策が絡み、同点に追いつく。これが流れを変える結果となった。
試合序盤から中盤にかけては両軍の綱引きが続いた。智弁学園は4回表に2点を挙げてリードを奪ったが、6回裏に主将で捕手の角谷哲人(3年)が全身を攣るアクシデントで交代。代わって1年生の殿垣内大祐がマスクをかぶる中、7回に杉本が左足を攣る場面もあり、球数がかさんだ。
杉本は7回時点で球数が140球に達しており、監督は継投を判断。だが太田蓮(2年)の継投が二者連続四球を与えた直後、送球が乱れて勝ち越し点を許し、さらに追加点を許して試合を決定づけた。奈良大付は守備の隙を突き、攻撃の好機を的確に生かした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 最終スコア | 奈良大付 9 ― 6 智弁学園 |
| 主な先発投手 | 杉本真滉(智弁学園)、新城楓雅(奈良大付) |
| 球数 | 杉本:7回終了時140球、新城:150球で完投 |
| 備考 | 奈良大付は8失策を喫したが勝利 |
試合は終盤まで緊迫した展開が続いた。新城は攻守で味方のミスを補う意識で投げ抜き、150球の完投という結果を残した。失策が多発したチーム事情はあるものの、エースとして粘り強く投げ抜いたことが勝敗を分けたと言える。
地域への影響と今後の見通し
地元有数の注目校である智弁学園の敗退は、県内高校野球の勢力図に影響を与える。春の甲子園での好成績を背景に期待が高かっただけに、地元ファンや学校関係者の落胆は大きい。今後、杉本の進路については「もう一回考え直していきたい」と本人が述べており、高校卒業後の去就は注目点のままである。
一方で奈良大付側は、逆境を跳ね返した勝利で勢いを得た。守備の乱れや失策が目立った点は課題として残るが、攻撃面では効果的に走者を返す場面があり、今後の試合での戦い方は注目に値する。
- 地元ファンへの影響:大会の注目度が高まる一方で、智弁学園の敗退により観戦動向に変化が出る可能性。
- 選手の進路:杉本の進路保留表明は、県内外の進学・プロ志望動向に影響。
- チーム課題:奈良大付は失策が多く、守備の安定化が今後の課題。
県内の高校野球は地域コミュニティの関心事であり、各校の試合は学校行事や地域の応援団の動きにも直結する。今回の一戦は、若き選手たちの成長と選手個々の進路の節目を示す重要な出来事でもある。保護者や関係者は、今後の大会日程や学校からの公式発表を注視することが求められる。
最後に、今回の試合は両校の選手が全力を尽くした結果であり、敗れたチームにも称賛が寄せられるべきだ。大会は続き、奈良の高校球界は新たなスターの登場を待っている。