テクノロジー

AIで社内副業を可視化・活性化 日立ソリューションズの新サービスがHR賞を受賞

日立ソリューションズのAIを活用した「社内向け副業マッチングサービス」が第11回HRテクノロジー大賞で奨励賞を受賞。部署横断の人材活用や人的資本経営への貢献が評価され、社内実証で7割超が効果を実感した点が注目される。

AIで社内副業を可視化・活性化 日立ソリューションズの新サービスがHR賞を受賞
©イラスト AI生成 :編集部/プレスリリースジェーピー

受賞の概要と評価のポイント

株式会社日立ソリューションズ(本社:東京都品川区)が提供する「社内向け副業マッチングサービス」が、HRテクノロジー分野を表彰する「第11回 HRテクノロジー大賞」において奨励賞を受賞した。主催は「HRテクノロジー大賞」実行委員会で、後援に産業技術総合研究所などの公的機関が名を連ねる。同サービスは、社員が登録した業務経験やスキル、資格などの情報を基にAIで案件とマッチングし、部署を越えた人材活用を図る仕組みを特徴としている。

"社内向け副業マッチングサービス"

審査にあたっては、技術力、革新性、経営貢献、生産性向上、戦略性、社会的影響性などの観点が重視され、今回の受賞は「組織横断でのスキル活用」「異動や兼務を伴わない手軽さ」「企業内に蓄積された知見の活用」が評価された。

サービスの仕組みと実証結果

本サービスは、社員が自身の保有スキルや経験を登録し、組織内の案件や課題とAIで紐づけることで、時間単位で他部署を支援できる社内副業を実現する。2026年4月からは社員が案件に自ら応募できる募集機能を追加しており、知見の可視化と活用を促進している。

日立ソリューションズ社内で実施した実証実験では、参加者の7割以上が業務効率化やモチベーション向上を実感したとするアンケート結果が得られた。実証は2024年9月から半年間にわたり、社内アイデアソンの最優秀賞案を事業化した経緯がある。

項目内容
実証期間2024年9月〜(半年間の社内実証)
実証結果(参加者の感想)7割以上が業務効率化・モチベーション向上を実感
機能追加2026年4月に募集機能を提供開始

企業側の狙いと人的資本経営への寄与

企業は、スキルや経験を個人に紐づけたまま眠らせるのではなく、組織横断で活用する仕組みを求められている。日立ソリューションズはこの課題に対して、AIを用いたマッチングにより、適材の発見と短時間単位での参画を可能にした点を打ち出す。異動や兼務を前提としないため、業務負荷や人事制度に大きな変更を加えずに運用できるのが特徴だ。

こうした手法は、人的資本経営の観点から以下の効果が期待される。

  • 社員のスキル可視化により、社内での最適配置やプロジェクトアサインの精度向上
  • 短時間の副業的業務参加を通じたスキル開発とキャリアの自律化
  • 知見の組織内蓄積とナレッジ共有による生産性向上

導入・運用上の留意点と課題

一方で、社内副業プラットフォームの導入には運用面での調整が必要だ。具体的には、業務の兼務や時間管理、評価・報酬体系との整合性、情報の正確性確保、機微な人間関係や組織文化への配慮などが挙げられる。実証で高い手応えが示されたとはいえ、実運用に移す段階では、以下のような課題が企業側に残る。

  • 参加希望と実際の受入れの需要バランスの調整
  • スキルデータの標準化と更新頻度の担保
  • 副業参加による本業影響のモニタリング手法

これらを解決するためには、人事制度の調整や管理職の理解促進、適切なガバナンス設計が不可欠だ。

国内外の潮流との整合性

企業内での人材流動性を高め、人的資本の最適化を図る試みはグローバルでも進んでいる。短時間での社内横断的な支援やプロジェクトベースの人材投入は、スキルの流動化と即戦力化を促す一方、評価制度や労働時間管理の再設計を迫る。日立ソリューションズの取り組みは、こうした潮流に沿った実装例として評価される。

今後の展望

日立ソリューションズは「DX by AX toward SX」を掲げ、AIや生成AI、AIエージェントの活用を通じて価値創出と持続可能な社会の実現を目指すとしている。今回の受賞は同社の企業内イノベーション創出プロセス(社内アイデアソンから事業化へ)を示す成果でもある。

企業が人的資本をいかに可視化・活用し、社員の挑戦機会を整備するかは今後の競争力に直結する。短期的には働き手のモチベーション向上や生産性改善、長期的には組織能力の蓄積と事業の持続性に寄与する可能性がある。導入を検討する企業には、技術面と制度面の両輪を整備することが求められるだろう。

今回の受賞が示すのは、AIを手段としてどう人材を活かすかという経営課題への一つの回答である。今後、他社での導入事例や公開データが積み上がることで、より具体的な効果検証やベストプラクティスが形成されることが期待される。

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