栄西禅師由来の茶文化の起点を東京で発信
佐賀県吉野ヶ里町の脊振(せふり)山地域に伝わる「栄西茶(えいさいちゃ)」の歴史と現状を改めて見つめ直す講演会が、2026年9月13日(日)に東京都千代田区の大妻女子大学で開かれる。松隈地区地域活性化協議会とエコバイ株式会社が主催し、県も後援するこの企画は、栄西禅師の事績を起点にした日本茶の源流に光を当て、現地で進む栽培再生の取り組みや保存・継承の課題を広く伝える狙いがある。
講演会は午後1時から午後5時までの約4時間。歴史、化学、文化、地域振興の各分野から専門家を迎え、多角的に栄西と日本茶の関係を解説する構成となっている。登壇者には歴史学者の熊倉功夫氏、大妻女子大学名誉教授の大森正司氏、静岡県の茶文化に関わる研究者岩間眞知子氏、松隈地域づくり会社の代表である多良正裕氏らが名を連ねる。
主なプログラムは以下の通り。
- 歴史・茶道史(熊倉功夫氏)——栄西禅師が「薬」的用途から「道」としての茶を伝えた経緯を解説
- 化学・成分特性(大森正司氏)——栄西がもたらした茶樹系譜と成分の特徴を紹介
- 文化・文学(岩間眞知子氏)——《喫茶養生記》を軸にした日本茶文化の成立過程
- 地域振興(多良正裕氏)——脊振から始まる物語と現地で進む再生への取組
「講演会は単なる史料紹介に止まらず、現地で栽培を続けるための実践的な課題と道筋を提示する場にしたい」と、主催側は説明している。
現地の課題と継承の切実さ
脊振山域にあった霊仙寺(りょうせんじ)などの古文書には、栄西禅師が帰国後に佐賀の地で茶の種を蒔いたとする記述が残る。これに基づき、現地には「日本最初之茶樹栽培地」を示す記念碑が設置されている。一方で、栽培を担ってきた松隈地区の生産者は高齢化が進み、後継者がいない現状にあり、栄西茶は「消えゆく可能性がある文化資産」として危機的な状況にあるという。
講演会は歴史的価値の顕在化だけでなく、観光や地域振興につながる「実践的な支援」を想定している。会場では、栽培再生に向けた取り組み状況の報告や、かつての在来種に近いとされる栄西茶の試飲・販売も行われる予定だ。主催者は、都内での発信を通じて認知度向上や支援者、消費者の掘り起こしを図る。
住民・産業への具体的影響
栄西茶の保存・復活は、単なる文化保存を超え、以下のような地域への具体的効果が期待される。
- 観光資源化——歴史的ルーツを求める来訪者の増加に伴う消費の喚起
- 農地の維持と景観保全——荒廃した茶畑の再生は里山環境の回復に寄与
- 地場産業の多様化——特産品化による新たな販売ルートや体験型ツーリズムの創出
ただし即効的な成果を期待するには課題も多い。栽培技術の継承、流通ルートの確立、需要の創出といった中長期的な取り組みが必要となる。講演会では、学術的な裏付けと現地での実践を結び付ける議論が求められるだろう。
開催情報と申し込み
開催は2026年9月13日(日)13:00〜17:00(12:00開場)。会場は大妻女子大学本館E棟454室(東京都千代田区三番町12)。交通はJR市ヶ谷駅から徒歩約10分、地下鉄半蔵門線・市ヶ谷駅からもアクセス可能。参加費は一般が6,000円、早割が5,000円、オンライン視聴は2,000円。申込はPeatixのイベントページから受け付ける。
| 日時 | 2026年9月13日(日)13:00〜17:00(12:00開場) |
|---|---|
| 会場 | 大妻女子大学 本館 E棟454室(東京都千代田区) |
| 参加費 | 一般6,000円/早割5,000円/オンライン2,000円 |
| 申込 | Peatix(主催者ページ) |
問い合わせは栄西禅師東京講演会事務局(エコバイ株式会社、担当:日小田・岡崎)へ。メールは ocha@ecobai.jp。
佐賀県側では、地元の史跡や在来種の保存、観光資源化を通じた地域振興の可能性を見据えつつ、講演会での知見を現地活動にどう反映させるかが焦点になる。歴史的な出自を持つ農林資源の維持は、地域のアイデンティティーと経済的な復興を同時に追う取り組みである。東京での発信がどの程度、現場の支援につながるかが今後の注目点だ。