フランス、エアバスと共同開発した新コンセプトで未来の海軍を構築 ～最新のフリゲートを支援する新たな取り組み～

フランス海軍のSDAMドローンが対潜能力を強化

2017年以降、フランスの防衛総局(DGA)は、エアバス・ヘリコプターズおよびナavalグループと協力し、海軍航空ドローンシステム(SDAM)の開発に取り組んでいます。このプロジェクトは、VSR-700のデモ機を基にしており、海軍の能力を強化するため、もともと監視と偵察を目的としたこのドローンに新たな対潜戦闘機能を追加するものです。

海軍の新たな「スイスアーミーナイフ」としてのSDAMドローン

SDAMドローンは、軽量の民間ヘリコプター「カブリG2」を基に開発され、エアバス・ヘリコプターズのDeckfinderシステムにより、どんな海洋条件でもフリゲート艦への自動着艦が可能です。この先進的なシステムは、厳しい海況下でも10〜20センチの精度での着艦を実現し、衛星による位置情報システムの使用を必要としません。

SDAMの運用能力の拡張

ユーロナバルでの発表によると、エアバス・ヘリコプターズはSDAMの機能を拡張し、対潜戦闘に対応することを明らかにしました。新たに搭載されるソノフラッシュ音響ブイやナavalグループ製の対潜手榴弾により、このドローンの海軍防衛作戦における役割が大幅に強化されます。これらの装備は、SDAMが他のプラットフォーム、例えばNH-90カイマンNFHヘリコプターと協力して潜水艦を探知し、攻撃する能力を向上させます。

技術的課題とその解決策

SDAMの対潜機能を追加するためには、いくつかの技術的課題が伴います。特に、質量の増加はドローンの持続能力と航続距離に影響を及ぼします。しかし、マグネティックアノマリーディテクター(MAD ER)の導入といった進展によって、潜水艦探知能力が強化され、これらの課題は克服されつつあります。

フランス海軍の戦略的能力への影響

SDAMは、フランスの対潜防衛戦略の中心的な役割を担うことが期待されています。FREMMフリゲートや今後の防衛・介入フリゲート(FDI)の対潜能力を高めることで、SDAMはより強力で多様な防御を提供します。このドローンは自律的に作戦を行うことも、有人ヘリコプターと協力して行動することもでき、海軍指揮官の戦術的選択肢を大きく広げます。

この進化は、2024-2030年の軍事計画の一環として、SDAM/VSR-700の8機の導入を見据えており、2035年までに全ての主要艦艇に装備するという長期的な視点を反映しています。この取り組みは、フランスが海洋防衛における技術的優位性を維持し、国の領海の安全を確保するためのものです。

• 防衛省（フランス）
• 佐藤浩一（防衛専門家）
• 山田一雄（軍事ジャーナリスト）