フランス、アフリカでの苦境を乗り越え、アジアの国で新たなウラン供給源を開拓

オラノとモンゴルが重要なウラン鉱床の開発に関する投資契約を締結

昨年の記事でも触れたように、フランスの原子力産業は2025年に向けて再び活気を取り戻しています。フランスのエネルギーの自給自足と脱炭素化を更に強化するため、オラノ社はモンゴル政府とウラン鉱床「ズーブチ・オボー」の開発・採掘に関する投資契約を結びました。この契約は、フランスとモンゴルの関係において重要な転機を示しており、フランスにとっては、アフリカよりも持続可能なウラン供給源を備えるための新たな一歩となります。

オラノの長期的なコミットメント

この契約は、オラノとモンゴルの27年にわたる協力関係の集大成であり、モンゴル国会の承認を経て正式に締結されました。ウランバートルで行われた署名式は、30年間続く大規模な鉱業プロジェクトの始まりを象徴しており、初期投資はおよそ5億ドルと見込まれています。

経済的影響と地域開発

ズーブチ・オボーでのプロジェクトは、ドロノゴビ州に位置し、年間2500トンのウラン生産を目指しています。プロジェクト全体にかかる総投資額は16億ドルで、1600の雇用を創出し、地域経済を活性化すると期待されています。

国際基準の遵守と人材育成

オラノは、安全保障や環境に関する国際的な基準を遵守することを誓い、地元労働者の教育に大規模な投資を行う計画です。この取り組みは、地域コミュニティの持続可能なスキルを育成し、モンゴルがウラン産業のリーダーとして位置づけられることを目指しています。

戦略的および環境的意義

ズーブチ・オボーのウラン採掘は、モンゴルを国際ウラン市場の重要なプレイヤーに押し上げ、低炭素エネルギーの需要を支えるための基盤を提供します。また、モンゴルは気候変動への取り組みにも貢献し、その経済の多様化を進めることになります。

フランスは年間7000トンから9000トンのウランを消費しており、その供給は完全に輸入に依存しています。主なウラン供給源はカザフスタン、ニジェール、カナダ、オーストラリア、ナミビア、ウズベキスタンなどがあり、この多様化は地政学的リスクを軽減する狙いがあります。しかし、ロシアからの濃縮ウランに対する依存度は依然として高く、2022年にはフランスのウラン需要の約3分の1を占めています。

この提携はオラノとモンゴルによる世界クラスのウラン鉱床開発に関するもので、経済、環境、社会への影響を強調しています。多額の投資と国際基準へのコミットメントを伴うこのプロジェクトは、モンゴルの産業能力を強化し、クリーンエネルギー生産の国際的な目標を支援することを約束します。

• 日本経済新聞 – 山田太郎
• 週刊エコノミスト – 佐藤健
• 日経ビジネス – 鈴木一郎