アメリカ、情報技術の未来を切り開くテラヘルツ波の制御に成功

MITが開発した「マジックチップ」がテラヘルツ波の普及を実現する可能性

マサチューセッツ工科大学（MIT）の研究者たちは、長年科学の謎とされてきたテラヘルツ波を効果的に操作できる電子チップを初めて開発しました。このテラヘルツ波は、マイクロ波と赤外線の間に位置する電磁波であり、インターネットから空港のセキュリティに至るまで多くの分野に革命をもたらす可能性を秘めています。

テラヘルツ波のユニークな特性がもたらす電子機器の進化

テラヘルツ波は、さまざまな材料を透過する能力があり、有害な放射線を出さないため、安全検査や工業品質管理、化学検出において非常に重要です。また、高速データ転送や広帯域通信においても期待される技術です。

シリコンの限界を打破する挑戦

テラヘルツ波の利用は、電子回路の基本材料であるシリコンの特性によって妨げられてきました。シリコンは高い誘電率を持ち、波の伝送を阻害するため、これまでのところ、シリコンと空気の界面は波を大部分反射していました。

新たな設計アプローチの導入

MITの研究チームは、シリコンと空気の特性のギャップを縮小する「マッチング」戦略を取り入れました。これにより、テラヘルツ波がチップを通過する際の伝送が向上しました。チップの裏に薄い誘電体フィルムを配置し、レーザーで微細な穴を開けることで、特性を調整し、波の伝送を円滑にしました。

高周波トランジスタによる信号強化

インテルが開発した高周波トランジスタを統合することで、研究者たちはテラヘルツ波の生成と伝送を改善し、現行の方法よりも強力で効率的な信号を実現しました。この「マジックチップ」は、11.1デシベルミリワットの放射出力を持つテラヘルツ信号を生成し、最先端技術を上回る成果を達成しました。

大規模な応用に向けての展望

テラヘルツビームの生成には複数のチップが必要ですが、チームは電子機器への大規模な統合に向けた生産の拡大を計画しています。この技術の進展により、テラヘルツ波が様々な電子機器で日常的に利用できるようになるかもしれません。

• 出典：マサチューセッツ工科大学（MIT）
• 専門家の意見：井上信宏（サイバーセキュリティ専門家）
• 雑誌：「テクノロジーの未来」編集部